消費税のインボイス制度
最近話題となっている消費税のインボイス制度ですが、インボイス制度とは簡単にいうと、適格請求書発行事業者(※1)に登録されていない顧客からの仕入れが、仕入税額控除を受けれられない(納付消費税額が減額できない)、という制度です。
しかしここで気になるのが、消費税の納付義務がない事業者(免税事業者)は請求書発行時に消費税を上乗せしていいのか?という問題です。
結論をいうと、可能です。
税法上、免税事業者が消費税を請求してはいけない旨の記載がありません。また、免税事業者も消費税を上乗せして請求しなければ、仕入れ時に支払った消費税額を自ら負担することとなり不公平となります。
これが事業者免税点制度という「小規模な事業者の事務負担や税務執行コストへの配慮から設けられている特例措置」であり、請求書発行時に消費税を加算する合理的な理由です。
しかし、免税事業者は比較的小規模な事業者が多く、仕入税額控除を受れないという理由で、取引先から一方的に条件変更(消費税額を減額)をされる可能性があります。これは、独占禁止法又は下請法若しくは建設業法により問題となる可能性があり、法令違反の可能性があります(※2)。
ただ、そうはいっても自社の売上の多くを占める取引先であれば、条件をのまざる負えないのではないか?と危惧しております。上記のような場合、最終的には免税事業者から課税事業者(消費税を納税する事業者)となり、あわせて適格請求書発行事業者の登録をし、消費税の申告をするのが一番いいのでは?と考えております。
インボス制度の運用は2023年10月1日から開始され、3年間は免税事業者から仕入れても80%が仕入税額控除に算入(納付消費税額が減額)し、2026年10月1日から3年間は50%、2029年10月1日からは0%となります。実際、取引条件の一方的な変更が起きそうな時期は、2026年頃からではないでしょうか?
泣き寝入りすることがないよう、事前準備をやっていきましょう!
※1 「適格請求書発行事業者」とは、税務署長に申請し適格請求書を交付できる事業者として登録を受けた事業者をいいます。
※2 公正取引委員会『免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A』Q5
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